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上海っ子AZUが早朝に見る夢の跡。


by azu-sh
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中国の聾唖者は大のおしゃべり好き!<コラム>

 上海市内の魯迅公園や中山公園に行くと、ものすごい人だかりなのに話し声も歌声も聞こえてこない、一風変わった団体に出くわすことがあります。数十人……いや多い時はざっと数えても百人くらいいるでしょうか、集まって何やら熱心に話し込んでいるのに、なぜか辺りはとても静かなのです。不思議でしょう?でもこれにはちゃんとワケがあります。
よ~く目を凝らすとわかりますよ。そう、せわしない手の動きが物語っているとおり、彼らは手話でおしゃべりしているのです。つまり、聴覚障害者なんですね。それにしても中国の聾唖者って最高にパワフル。「仲間に入れてよ」と言いたくてウズウズするくらい、楽しげに夢中になって会話をしています。中国の公園はおもしろい発見がいっぱいの宝箱だけど、こんなに引き込まれる光景を見たのははじめて!あづは思わずその場に立ちつくして見とれてしまいました。(すごい……わたしもやってみたい♪)手話って十本の指だけでどんな深遠な話題でも語れてしまうミラクル言語なんですよ、“ボランティア”とか“障害者との交流”とかそんな社会的建前は抜きにして、ひとつの外国語として魅力的じゃないですか?

 どうしてもガマンできなくなったあづはある日、彼らの輪に自ら飛び込んでみることにしました。といっても中国手話は何ひとつできないので、まずは筆談で!持っていたメモに「皆さんと友達になりたいです。ぜひ手話を教えてください」と中国語で走り書きし、まずはやさしそうな中年の女性にそっと近づいてみました。(嫌がられたらどうしよう)(言いたいことが全然伝わらなかったらどうしよう)とあづの心臓はかなりの勢いでバクバク……。
 その女性は突然声をかけてきたあづを見て最初はびっくりしていましたが、わたしの顔とメモに書かれた言葉を何度も何度も交互に見て、ついに「うんうん」と笑顔でうなずいてくれたではありませんか!やったー、コミュニケーションできた!そうこうしているうちに近くのベンチに座っていた人たちも(なんだ、なんだ?)(その子は新入りか?)という感じで近寄ってきて……いつの間にかあづは手話の嵐の真ん中にいました。
 しかし、わ、わ、わかんないぞーっ(汗)!ここでは中国語をどんなに正確に発音したって、彼らには聞こえないのです。動作と表情、口パクと筆談。これらを駆使してもたぶんこっちの話はほとんど通じてない。でもあづの体当たりコミュニケーションはなかなかうまくいきましたよ♪(えっ、日本人なの?)(あなたは聞こえる人なの?)ほとんどの聾唖者にとって、あづは初めて接した外国人だったのでしょう、みんな興味津々。(相手にされなかったらどうしよう)なんて心配したのが恥ずかしくなるくらい、皆さんフレンドリーでわたしの何倍も積極的でしたよ。

 中国の手話もちょっとだけ教えてもらいました。「ニーハオ」と「シエシエ」、文章では「わたしは上海に住んでいます」「手話を覚えたいです」というのを習いました!(でも難しくて、覚えるのは大変!)実はこの時手話の輪に飛び込んだのがきっかけで、あづは自分と同世代の聴覚障害者たちと仲良くなれたんですよ。彼らとの筆談を通して、中国の福祉事情やみんなの夢、独特の世界観を知ることができ、またひとつ世界が広がったような気がしています。
by azu-sh | 2006-04-12 22:58 | 「あづ」の中国手話教室