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上海っ子AZUが早朝に見る夢の跡。


by azu-sh
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豫園で出会った親友 <コラム>

 日本から友人が上海に遊びに来ると必ず連れて行くところ、それは豫園。三年前の秋、青森からやってきた友達を案内した時も豫園商城を訪れた。茶器を扱うお店に入った時、従業員のひとりがとても親しげに声をかけてくれた。馬さんという女の子で、日本語を勉強中だった。職場が近かったこととお互いに語学を勉強中であることから話がはずみ、これをきっかけにわたしと馬さんは仲の良い友達になった。

 お互いの職場を行き来して話し込んだり、彼女の住むアパートに行って日本語を教えたり。春節も一緒に過ごした。赤い爆竹の降る中をキャーキャー言いながら路地を走りぬけ、四畳半ほどしかない彼女の小さなアパートに泊まりこんでいろんな話をした。日本の話、仕事の話、恋の話…。自分の悩み事を泣きながら語り合ったこともある。彼女はわたしのことを“精神的な話のできる唯一の友達”だと言ってくれた。わたしにとっても彼女は中国語で深い話のできる数少ない友人のひとりだった。
 日本語の文法も二人で額をつき合わせ、教科書をもとによく討論した。動詞を「て形」に変化させる時の規則が一番てこずった。食べる→食べ(て)、行く→行(って)、飲む→飲(んで)、泳ぐ→泳(いで)…日本人のわたしには考えたこともないフクザツな変化形。一緒にルールを確認しながら教科書の問題を解いていくのは楽しかった。

 オフの日は一緒にカラオケに行ったり、博物館に行ったり、火鍋を食べに行ったり。そういえばわたしが助けを必要とした時駆けつけてくれるのもいつも馬さんだった。インフルエンザで40度の熱が五日間続いた時も一番心配してくれたのは彼女だった。わたしがうつ病で上海の精神科病院に入院した時も、どこからかそのことを聞きつけてお見舞いに来てくれた。わたしを見て何も言えず、ただはらはらと涙を流していた馬さん。心が締め付けられるくらい気遣いを感じた。
 今回帰国してから、二度手紙をくれた。「あなたはわたしの“世界でひとつだけの花”だよ」と書かれていた。同じせりふを馬さんにも言いたい。わたしが上海で出会った親友、馬さん。わたしの喜びを一緒に喜び、わたしの痛みに涙を流してくれる人。これからもずーっと友達でいようね。上海に戻ったら真っ先にあなたに電話するね。
by azu-sh | 2007-02-09 09:20 | 「あづ」の一筆コラム