★2012年8月、およそ6年ぶりに中国上海に帰ってきました!このブログは「AZU」が綴る、上海(サンヘー)滞在記録。ワクワクの上海生活、まるごとお届けします。ほらね、生きてるってこんなに可笑しい★


by azu-sh
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いざとなったら駅に行こう<中国ホームステイ③>

 あづの棲家はなかなか見つからない。家探しのことだけでも気は急いているというのに、こんな時に限って日本から次々お客さんがやってくる。その相手もしなければならない。最終期限は今月十八日。泣いても笑ってもあと数日でタイムリミット。その日になったら荷物を全部持って今の仮アパートを出なければならないのだ。
 あづは、絶対の絶対に一人暮らしがよかった。日本にいた時、一度だけ「ルームシェア」というものを経験したことがあったが、このライフスタイルはあづに向いてないということが短期間にして判明したのだ。小学生の頃から鍵っ子で、家に一人でいる時間が多かったせいだろう。「誰もいない家に帰る」というのが常だったから、たまーに母が早く帰宅してわたしより先に戻っていたりすると、玄関の前をうろうろしたまましばらく家に入れなかった。(あれっ今日は家に誰かいる……いつもと違うぞ)と思っちゃうのだ(動物かわたしはっ)。いや、それが百パーセント母だということはあづにもわかっている。でも、鍵を使わないで家に入る前には、なぜかきまって一呼吸必要なのだ。
 だからだろうか、当時わたしの帰宅のあいさつはかなりヘンだった。家に誰もいない時は元気よく「ただいまっ!」と言う。その直後、自分で自分に向かって「あづ、おかえりぃ!」と言う。たまに「おかえりぃ!」を立て続けに四、五回言ってみたりすると、何だか大家族に迎えられているような気がして一人で照れちゃうこともあった。逆に母が家にいる時、わたしの帰宅のあいさつは「ごめんください」であった。

 いや、そんな昔話をしている場合ではない。とにかく、育った環境ゆえに「一人」という空間に慣れていたわたしは、共同生活なるものにかなり抵抗があったのだ。それが亀とならまだいいが、相手が人間である以上、肉親であろうと学友であろうとどうもヘンに身構えてしまう。普通の友達づきあいなら問題なくても、一緒に暮らすというのは次元が違う話だ。あづはバランスの取れてないヤツだから、きっと気を遣い過ぎて精神的に無理をしてしまう。海外に来てまでそんな疲れる暮らしはゴメンだ。そんなわけで、今回の家探しでも「ルームシェア」という形の賃貸はすべてお断りしていた。
 しかし……選り好みし過ぎなのだろうか。あづの落ち着けそうな居場所はいまだに見つからない。この頃、家探しのプレッシャーに加え別の厄介な問題がいくつか重なり、あづは中国に来て以来過去最大のうつ状態に陥った。こんな大事な時に“やる気燃料タンク”に穴が開くとは想定外であった。今でこそ冗談めいて話せるけど、これは明らかな「再発」であり、ショックを受けたわたしは引越しや家探しどころではなくなってしまった。

 あづの頭にぽわーんと浮かんできたのは、上海駅の広い広い待合室の風景だった。列車が来る何時間も前から、いやもしかしたら数日前から、途方もない大荷物を持って待合室で寝息を立てている神経のブっといやつら。エネルギー切れのわたしは、自分がそいつらに混じってスーツケースにもたれている光景を想像していた。
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by azu-sh | 2006-04-09 10:12 | 「あづ」の中国ホームステイ