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上海っ子AZUが早朝に見る夢の跡。


by azu-sh
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えっ、手話にも上海語?(2) <手話>

 標準中国語(普通話)を勉強中のあづにとって、上海の街中で圧倒的に多く聞かれる上海語は大きな壁。上海に引っ越してきたばかりの頃は、スーパーのレジでもタクシーでも毎回「えっ?今何て…?」と二度聞きしなければならず、ほとほと苦労したものです。
 聞こえる世界にも聞こえない世界にも「上海語」があります。上海人がこの町で培ってきた文化と築いてきた人間関係が、その言語に深く深く染み付いているのでしょう。
  ◆一些聋哑人表示,自己学过标准手语,但在实际运用中,还是习惯用“方言”手语,时间一长“国标”就生疏了。“就像你们健全人,大家都是上海人一般用上海话交谈,不太习惯用普通话。”
 (一部の聾唖者が言うとおり、中国標準手話を習ったことはあっても実際の生活の中ではもっぱら地元で通用する表現を使うため、時がたつうちに標準手話を忘れてしまう。「健聴者の皆さんだって、上海人同士では上海語を使って話すのが自然で標準語(普通話)はそんなに使わないでしょう、それと同じです」)

 手話の方言…この記事を読んで思い出しました。昔々あづが中学生だった頃、「Wさん」という苗字を手話で表す時、右手を左肩に当てて表していました。なぜかというと、あづの実家がある町の聾唖者協会にWさんという人がいて、その人がサロンパスのコマーシャルに出てくる人に似ていたから。しかしこれは当の聾唖者協会の“Wさん”を個人的に知らない人にはピンと来ない由来です。わたしも地元の人にだけ“サロンパスのしぐさ”で「Wさん」と表していました。狭い地域の小さなコミュニティー内でのみ通じる手話の一例といえるかもしれません。

 外国の手話をかじってみてとりわけ興味深いのは、その国ならではの価値観が手の動きに如実に現れてしまうこと。これは社会活動や心理活動の単語の場合に顕著です。例えば「結婚」。日本の手話では親指を立てて男性を、もう片方の手で小指を立てて女性を表します。その二本の指を寄り添うようにくっつけるのが「結婚」という手話。しかし中国手話の「結婚」に指による男女の区別はありません。両手の親指を向かい合わせ、お辞儀させるかのように動かすのです。うーん、まさに男女平等!逆に「歩く」「食べる」といった人類共通の動作は国が変わっても動きは同じ。日本手話で「歩く」とやっても、中国手話で「走(zou)」とやっても、アメリカ手話で「walk」とやっても表現方法はまったく同じなのです。人差し指と中指を下に向け、足に見立てて交互に動かす。そう、きっと誰もが一瞬で見てわかる、ジェスチャーの代表格ですね。

 コミュニケーション。人間は様々な手段や方法を駆使して、自分以外の人間とコンタクトをとろうとします。そして感情を共有しあい、意見を戦わせ、理解を求め、自分の存在を確認します。人間対人間の向かい合い、そこには常に言葉があります。言語はそのツールです。英語も中国語も日本語も、そして手話も。自分以外の誰かと分かり合うため、その誰かに何かを伝えるため、人間は言語を用います。あづはこの“道具”の使い方を正しく学び、できればもっと熟練したい。教養のためでも虚栄心のためでもなく、純粋にツールとしての言語を学んでいきたい。それがあづのささやかな目標です。

↓ 中国手話の「結婚」です。
えっ、手話にも上海語?(2) <手話>_b0074017_4321646.gif

by azu-sh | 2006-05-02 04:36 | 「あづ」の中国手話教室