★2012年8月、およそ6年ぶりに中国上海に帰ってきました!このブログは「AZU」が綴る、上海(サンヘー)滞在記録。ワクワクの上海生活、まるごとお届けします。ほらね、生きてるってこんなに可笑しい★


by azu-sh
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「オレが作って嫁と孫が食う」<中国ホームステイ(20)>

『ジエジエ、入院したって聞いたよ。大丈夫?』
 いてもたってもいられなくて、ジエジエの携帯にメールを送ってみた。しばらくして返信が来た。
『ありがとう、大丈夫だよ。もうあたしってばドジだよね』
 妊娠六ヶ月に入ったジエジエは、不注意で転んでしまったのが原因でひどい出血があった。幸い本人もおなかの赤ちゃんも大事には至らなかったが、出産予定日まであと三ヶ月あるというのに「もう一度何かあったら次は保証できないので出産当日まで入院していること!」と医師に言い渡されてしまった。病院の中にいれば、たとえ何か起きても二十四時間いつでも対応できる。費用はかかるけれど、安全のためにはやむをえない。
『予定日はまだまだ先なのに、仕事も全部休んで病院に缶詰になっちゃった。ひまだからあづも会いに来てね』

 ジエジエが入院して急に忙しくなったのは、ほかでもないサンヘーパパだった。ジエジエは今一番栄養を取らなければならない時期だというのに、病院の食事がまずくて食べられないのだ。数日間の入院とか、せめて妊娠中でなければテイクアウトの弁当などでガマンしてもらうこともできる。でもこの時期に偏った食事を三ヶ月も続けたら、赤ちゃんの発育にも影響する。しかし「誰が毎日食事を作って届けるの?」…サンヘー息子→仕事。サンヘーママ→仕事。ジエジエのお母さん→仕事。あづ→問題外。こうなったら、ジエジエの苦境を救えるスーパーマンはただひとり。我らがサンヘーパパの出番だ!
 既に定年退職したサンヘーパパは、毎朝家族で一番早く起きて野菜市場に行き、朝食から夕食まで完璧に用意する「上海的模範亭主」の鏡である。でっぷり太ったおなかに可愛いエプロンをしめ、鼻歌を歌いながら台所に立つサンヘーパパは、なんだか漫画に出てくるキャラクターのようでとっても可笑しい。たまに超スピードで台所仕事を片付けたかと思うとこっそりテレビゲームをしている姿など、とても六十過ぎた退役軍人には見えない。これは内緒だけど、あづは日本の実家に送る手紙の中でサンヘーパパのことを「トトロ」と呼んでいる。サンヘーパパを見ると“寝起きのトトロ”を思い出してしまうのだ。

 ジエジエが入院してから、トトロはますます早起きになった。サンヘーママを送り出したらすぐ今度は食事の宅配に行かなければならないからだ。栄養バランスを考え、味付けも工夫して毎日三種類ほどのおかずとスープを作る。おかずをタッパーに入れ、スープは小さな鍋に入れたまま蓋をして持っていく。ジエジエが入院している病院まで、家から徒歩約十五分。パパは毎朝両手に袋を下げて食事を届け、夜にはサンヘーママと一緒にもう一度病院に行きカラになった容器を持って戻ってくる。
 あづは心底感心した。入院したお嫁さんのために食事を作って宅配し続ける義父なんて、日本のどこにいるだろう。あづは思わずねぎらいの言葉をかけずにいられなかった。いつもそうだけど、サンヘーパパはわたしにほめられるととたんに目がなくなってしまう。
「おお、あづ。上海男は頼りになるだろう、え?こんなにたくさん作ってもオレの口には入らない。全部嫁と孫が食うんだ
 …あのー、まだ“孫”は生まれてませんから…(笑)でも「孫が食ってる」と言ってしまうあたり、サンヘーパパの人柄がうかがえてあづはまた可笑しくなった。
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by azu-sh | 2006-06-05 10:01 | 「あづ」の中国ホームステイ