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上海っ子AZUが早朝に見る夢の跡。


by azu-sh
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ビンボーあづの奮闘記 パートⅡ<コラム>

 ビンボーな話題はさすがにちょっと恥ずかしいのだが、実はうれしい事件があったので調子に乗ってパートⅡを書くことにした。先日、友達が遊びに来てくれたのでおいしいスイーツでもテイクアウトしようと思って財布をのぞいた。予想してはいたけど(笑)財布はカラだった。「ごめーん、ちょっと待っててくれる?」友達に謝っておいてから、わたしはこそこそとATMの列に並んだ。今日使うだけだから、とりあえず100元引き出そう。しかししかししかーし!
ATM 『…オトリヒキ デキマセン』
AZU 『なんでよ?』
ATM 『…残金ガ アリマセ~ン』
 中国語でからかわれてしまった。機械のくせに…。いや、機械のせいではない。あづのせいだ。見ると、あづのキャッシュカードの残金は「35元」となっていた。確かに、ピンクの毛沢東さんが出てくるわけがない。さよならスイーツ…。
 しかし、数日後。何を思ったか、あづはまたATMにカードを入れた。すると…「えっ、なんで?」残金が増えている。「135元?」…何度見てもやっぱり135元。一体どこからやってきたのか、この100元。たぶん、ずっと前に日本で突然配られた“地域振興券”みたいなもんかもしれない(←古い?!)。減っていたらとことん追求するが、増えている分には理由は何でもいい。ああ、幸せ♪ビンボーっていいなぁ♪

 ビンボーっていいなぁ♪と言うのは決して負け惜しみではない。あづはビンボーだったゆえにこれまで何度もステキな「奇跡」を体験しているのだ。ATMの100元事件もそうだし、サンヘー家族との出会いもそのひとつ。もしあづがお金持ちだったら、上海人の家で下宿なんかするわけないのである。
 でもビンボーゆえの「奇跡」といったらあの話をしないわけにはいかない。今から数年前、あづが実家を出て暮らし始めた時のことだ。

 あづはその頃、どうしても車が必要だった。新しく引っ越してきた町は都心から離れたベッドタウンのようなところで、車はいわゆる“生活必需品”。新しい職場へ行くにも公共の交通手段はなかった。しかし前にも書いたとおり、あづは三万円ぽっきりで引っ越してきた身だから車を買うお金などどこにもないのである。いや、車どころか自転車だってあやしい。
 しかし悲しいかな、あづの持っている「お金」と「度胸」は反比例している。お金が底をつけばつくほど、あづの度胸がむくむく力を盛り返す。どんな作用か知らないけれど、お金がないとあづは怖いもの知らずになってしまう。こうなったらもう誰にも止められない。絶好調のあづは紙と鉛筆を持ってきて、今ほしいものを書き出してみることにした。
「あづのほしいもの。車。条件は以下のとおり。
 1、軽自動車がいい。(税金が安いから)
 2、オートマ車がいい。(ここは渋滞が多いから)
 3、燃費が良くてタフな車がいい。(修理代なんて払えないから)
 4、次の車検まで一年以上残っている中古車がいい。
   (今は車検代払えないから)
 5、今持っているお金だけで買える車がいい。
   (ローンも借金もしたくないから)」
   あづ「よし、書けた~!」
 身の程も知らず、よくこんな条件が書けたものである。第一、5番目の条件なんてほとんど「無料の車」と言ってるのと同じじゃないか。アテもなければ先立つものもないというのに、度胸だけは一人前なのである。

 ところが昔話にもあるように、心の正しいビンボー者には福がやってくるものなのだ(笑)。数日後、家の電話がなった。引っ越し先で知り合ったばかりの、新しい友達からだった。
「あの、あづさん車持ってなかったですよね?もしかして今探してます?実はちょうど今、ぼくの昔からの友人が車のもらい手を探してるんですよ」
 あづの心の中で電球がぽーん、とともった。
「探してますっ!どんな車ですか?」
「あ、ぼくは詳しいこと知らないんです。よかったら電話番号教えますから直接連絡とってみてもらえませんか?ぼくからそう伝えておきますから」
 教えてもらった電話番号にかけると、やさしそうな男性が応対に出た。話を聞くと、手放そうと思っている車は奥さまが独身時代に使っていて、お嫁に来る時持ってきたものらしい。でも結婚して新しい車を買い、今は必要なくなったので処分に困っていたのだという。
「軽自動車のオートマチックです。もともと貨物ですからタフだしけっこう馬力もありますよ。車検はちょうど一年先です」
 ぽーんぽーんぽーんぽーん、あづの電球が四つくらい一気にともった。でももうひとつ気になる問題が…。あづはおそるおそる切り出した。
「あの、失礼ですけどお幾らくらいで譲っていただけるんですか?」
 そのやさしそうなだんな様は言った。
「お金はいいですよ。差し上げますからどうぞ使ってください。そのほうが家内も喜びます」
 キラキラ…五つの電球が全部ともってしまった。会ったこともない人なのに。ビンボーあづの願いを叶えてくれた!友達の親切に、どんなに感謝したことか。
 
 実はこの話には続きがある。ビンボーシリーズ、まだまだ続きます。(^ ^;)
by azu-sh | 2006-06-16 16:33 | 「あづ」の一筆コラム